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特許を取得しているスタートアップの投資金額が大きい理由 ~特許と資金調達の関係~
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特許取得はスタートアップにとって資金調達の大きな武器となります。特許は企業の競争優位性を示し、投資家の信頼を高める要素として重要です。特に技術関連の業界では、特許があることで模倣者からのリスクを軽減し、企業の成長可能性をアピールできます。この記事では、特許がどのように資金調達や企業評価に影響を与えるのか、その具体的な効果について解説します。

特許が示す成長意欲

スタートアップの成長と収益は投資家が企業の可能性を評価する際の主要な指標ですが、知的財産も重要な資産です。特許を持つスタートアップは競争優位性があり、そのコンセプトが保護されているため、投資家から高く評価されます。特に技術関連の業界では、模倣者が一つのプロジェクトを失敗させる可能性があるため、企業がどのように差別化し、スケールするかが投資家にとって重要です。

市場と未来を見据えた特許の重要性

特許は、スタートアップが研究開発や新たなイノベーションに強くコミットし、その技術が価値ある資産として認められていることを示す重要な資産といえます。これにより、投資家の信頼が高まり、好条件での投資獲得の可能性が向上します。PitchBookのスタートアップ資金調達レビューによると、2011年から2020年の間にベンチャーキャピタル(VC)の約58%が特許または特許出願中のスタートアップに投資されています。同じ期間内において、より成長段階にあるスタートアップに関しては、80%のVCが投資をしており、資金調達プロセスが進むほど特許の重要性が高まっていることが伺えます。

参照元:https://pitchbook.com/news/reports/q1-2023-pitchbook-analyst-note-introducing-pitchbook-patent-research

特許を取得している方が、投資金額が大きい

特許はベンチャーキャピタルから投資を得るだけでなく、その投資金額の規模にも影響を与えます。具体的には、特許を持っているスタートアップは特許を持っていないスタートアップよりも多くの資金を調達することができます。

特許を持つ初期段階のスタートアップは、特許を持っていない場合と比べて平均して73%多くの資金を獲得しています。

さらに、もう少し段階が進んだ中~後期段階のスタートアップの場合、特許があることで71%多くの資金を調達できます。

さらに、ベンチャー成長段階のスタートアップでは、特許があることで46%多くの資金を調達できます。

つまり、特許を持つスタートアップは、持たないスタートアップよりもはるかに多くの資金を調達できる傾向があるということです。

成長と資金調達プロセスにおける特許の役割

興味深いことに、PitchBookのレポートによると、スタートアップは成長と資金調達プロセスが進むにつれて特許を取得する可能性が高くなります。成長するスタートアップが研究開発活動を行うにつれて、保護する価値のある知的財産を増やします。特許は、スタートアップが特別な保護に値する価値のあるものを開発し、それを基にビジネスを構築していることを示します。

特許がスタートアップの評価に与える影響

資金調達ステージごとの評価増

PitchBookの研究に含まれるスタートアップの409A評価(※)に対して、特許と特許出願は大きな影響を与えています。評価には、スタートアップの財務実績、成長見込み、市場規模、競争環境などの要因が含まれます。この評価は、スタートアップの価値を決定し、投資家が投資に対して得る所有権の割合を決めるための重要な要素です。そのため、評価は投資家とスタートアップ所有者間の交渉において重要な役割を果たします。

※米国のスタートアップや非公開企業が公正市場価値を算出するために使用される評価プロセスのこと。

PitchBookの報告によると、すべての段階において、特許を持つスタートアップは特許のないスタートアップよりも高い評価で資金を調達できました。エンジェル段階のスタートアップの平均評価は特許を持つことで93%も高く、後期段階のスタートアップの評価は51%高くなっています。

評価増の2つの理由

まず一つ目は、スタートアップが成熟し、多数の特許取得や特許出願をするようになると、他の企業が簡単に模倣できないイノベーションエコシステムを構築することができます。

そして二つ目は、特許を取得すること自体がスタートアップが将来を見据えており、組織的に研究開発体制が整っていることを示す要因として考えることができます。特許の申請は、膨大な書類作業、文書化、細部への注意を要する複雑なプロセスです。多数の特許を持つスタートアップは、その申請を完了するために専門的なスタッフが必要です。特許を出願すること自体が、投資家からは、優れたアイデアとそれを実現するチームを持っていると評価されやすくなります。

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特許を含む「知的財産」は、発明家や企業にとって非常に価値のある資産です。イノベーションを保護し、経済的利益を最大化するためには、特許の適切な理解と活用が不可欠です。一方で、特許は非常に複雑で専門性が高く、内容が高度であるため実際の出願や活用が難しい権利であることも事実です。

どのような特許を取ることで競争優位性をもった技術を独占できるのかといった点は専門的な判断が必要な事項です。

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