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eBAY判決とは?米国特許法における差止め条件について解説
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eBAY判決は、米国特許法における特許侵害訴訟のありかたを大きく変えました。

米国への進出を検討している企業や発明者にとって、この判決は必ず知っておかなければならないといっても過言ではありません。特許権の行使や差止請求の条件を明確に理解することは、米国市場での成功のために不可欠です。

本記事では、eBAY判決の概要、具体的な内容、その意義と影響について詳しく解説します。

eBAY判決とは、概要とその背景

eBAY判決の定義と重要性

eBAY判決とは、米国において特許に基づく差止が認められるための条件を示した判決です。この判決は、2006年に米国最高裁判所が下したもので、特許侵害訴訟における差止命令の基準を大きく変更しました。特に、特許権者が侵害を理由に差止を請求する際の要件を明確にした点で重要です。

米国特許法第283条の説明

米国特許法第283条では、Permanent Injunction(終局的な差止、すなわち一時的でない差止)の発行について規定されています。具体的には、「各裁判所は、特許によって保障されている権利の侵害を防止するため、衡平の原則に従って、裁判所が合理的であると認める条件に基づいて差止命令を出すことができる」とされています。これは、特許権者が無条件で差止請求を行えるわけではなく、裁判所の裁量が重要であることを示しています。

eBay v. MercExchange事件の概要

eBay v. MercExchange事件は、オンラインオークションサイトeBayが、特許権者MercExchangeから差止請求を受けたことから始まりました。

MercExchangeは、eBayが自社の特許を侵害しているとして訴訟を起こし、差止命令を求めました。この事件において、最高裁判所は従来の自動的な差止命令の発行を否定し、特許権者が差止請求を行うためには特定の要件を満たす必要があると判断しました。

eBAY判決の意義

米国特許法における差止命令の意義

eBAY判決は、特許侵害訴訟における差止命令の発行に関する新しい基準を設定しました。これは、特許権者が自動的に差止命令を取得できるという従来の考え方を変え、裁判所が個別の事案に応じて判断する重要性を強調しています。

特許取得と差止請求の関係

特許を取得したとしても、それが直ちに差止請求の権利を保証するわけではありません。特許権者は、侵害を理由に差止を求める場合、特定の条件を満たす必要があります。eBAY判決は、この条件を明確にすることで、特許権の行使におけるバランスを取ろうとしています。

衡平の原則に基づく差止命令の発行条件

衡平の原則に基づく差止命令の発行条件とは、裁判所が公平で合理的な判断を下すための基準です。これには、原告と被告の双方の利益を考慮し、特定の要件を満たす場合にのみ差止命令を発行することが含まれます。

eBAY判決の具体的内容

差止請求の4つの要件

eBAY判決は、差止請求が認められるための4つの要件を提示しました。これらの要件は、特許権者が差止命令を求める際に満たさなければならないものです。

(1)回復不可能な損害 (Irreparable Injury)

第一の要件は、回復不可能な損害が存在することです。これは、特許侵害によって特許権者が受ける損害が、金銭的な補償では完全には補えないものであることを示す必要があります。

(2)法的救済手段の不十分さ

第二の要件は、損害賠償などの法的救済手段では救済が不十分であることです。特許権者は、法的手段だけでは不十分な被害を受けていることを証明しなければなりません。

(3)当事者間の不利益バランス

第三の要件は、差止命令が発行されることで、当事者双方に生じる不利益のバランスが取れていることです。裁判所は、特許権者の利益と被告の利益を比較し、公平な判断を行います。

(4)公共の利益の保護

第四の要件は、差止命令が公共の利益を害しないことです。裁判所は、差止命令が公共の利益に反するかどうかを考慮し、その影響を評価します。

判決における原告の証明責任

これらの要件をすべて満たすことは、原告である特許権者が証明する責任を負います。裁判所は、原告がこれらの要件を立証することを求め、その上で差止命令を発行するかどうかを判断します。

特許出願への影響

特許出願人とパテントトロール

eBAY判決は、特許出願人といわゆるパテントトロールに対する影響を大きく与えました。パテントトロールとは、自らは発明を実施せず、他人に対して特許権を行使することを目的とする特許権者のことを指します。

パテントトロールの定義とその行動パターン

パテントトロールは、特許を取得した後に他者に対して特許権を行使し、差止請求を武器にして交渉やライセンス料の取得を図ることが一般的です。これにより、特許を実施している企業にとっては大きな脅威となります。

企業にとっての脅威

従来の米国特許制度では、パテントトロールが特許を取得し、それを元に他社の事業活動を差止めることが容易でした。しかし、eBAY判決により、差止請求が困難になったことで、企業にとっての脅威が減少しました。

eBAY判決後の特許出願戦略の変化

eBAY判決後、特許出願者は特許戦略を再考する必要が出てきました。特に、特許を取得するだけでなく、差止請求が認められるための条件を満たすための準備が重要となりました。

差止請求権の行使の難易度

eBAY判決により、差止請求権の行使が難しくなったため、特許権者は他の手段で特許を活用する方法を模索する必要があります。これには、ライセンス契約や技術供与などの戦略が含まれます。

実施予定のない発明の特許出願への影響

eBAY判決は、実施予定のない発明に対する特許出願にも影響を与えました。特許権者が差止請求を行うためには、自らの実施や実施予定が重要となり、単に特許を取得して他者に対して権利行使を行うだけでは難しくなりました。

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